セラミドが皮膚から取り除かれると水分量が低下して、肌荒れを起こす。逆にセラミドを皮膚に戻すと肌荒れが改善する。セラミドに乾燥に抵抗する水分保持機能/保湿機能があることはわかっていても、そのメカニズムは不明でした。
研究を重ねる中で、セラミドのもつ物理学的性質が、これまで知られていなかった水分保持機能/保湿機構を担っていることが発見されたのです。
セラミドは、水と仲よくできる部分(親水基)と脂と仲よくできる部分(疎水基)の両方を備えた物質です。角層の細胞の間で、水分子をしっかりとつかまえる一方で、セラミド同士が仲よくつながって一定の方向を向きながら整列することで、水と脂(セラミド)が交互に層状に並ぶ液晶の構造「ラメラ構造」をつくっていることがわかったのです。
水と脂の層がきれいに並んだラメラ構造の中に抱え込まれている水分は-40℃でも凍らない結合水で極度の乾燥状態でも蒸発しない水分であることも判明しました。
セラミドなどがつくるラメラ構造がきちんと整っていることで、外気が極度に乾燥しても結合水は蒸発しないため、肌内部の潤いが守られていたのです。